岩手県三陸の南部潜りと海女潜りがある久慈地下水族科学館もぐらんぴあ さかなクンコーナーも大人気!

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館長日記

第2回・3回合併号「もぐらんぴあ生まれのクラゲ」

今頃そういうレベル?と思う人がいっぱいいると思う。
 長年にわたりクラゲの展示や繁殖、研究の最先端を走り続けている、新・江ノ島水族館。クラゲの魅力を直感的に感じ、業績をV字回復させた、加茂水族館。その他にも充実した展示をしている水族館は、全国にたくさんある。みんなクラゲが大好きなんだなあと思う。

 今は無くなったが、久慈市内に熱帯魚ショップがあった。もぐらんぴあがオープンした平成6年から、しばらくの間お世話になった。色んな魚や器具が置いてある店内をのぞくのが楽しみだった。ある時、お店のスタッフから「クラゲのようなものを水槽で発見した。何のクラゲか教えてほしい。」と連絡があった。なんでも、サンゴを仕入れ、水槽で展示していて発見したという事だった。「クラゲがひっくり返ったようになってませんか?きっと、サカサクラゲだと思いますよ。」と返事した。実は、もぐらんぴあでも同じ経験をしていたので、見なくても想像できたのである。でも、この事はすっかり忘れてしまっていて、電話で思い出した出来事だった。もぐらんぴあとクラゲの初めての出会いであったが、そのまま終わってしまった。

 サンゴ水槽の中に、ある日突然小さな生き物が泳ぎだした。この時もサカサクラゲの赤ちゃんだった。このクラゲの魅力に着目し、後々クラゲ水族館に生まれ変わった加茂水族館の話は、あまりにも有名である。この事を知ったとき、もぐらんぴあで生まれたサカサクラゲの事を再び思い出す事になった。同じクラゲが、きっかけになった事が衝撃だった。

 平成23年3月11日の東日本大震災により、もぐらんぴあは全壊し閉館。正直、クラゲとの縁は切れたと思った。全壊したもぐらんぴあを後にし、久慈駅前の空店舗で「まちなか水族館」として仮営業を始めた。震災直後で水槽も少なかった。クラゲの展示は、加茂水族館から復興支援で提供してくれた、パラオ産2種類を合わせた4種類だった。

 そのうちポツリポツリと、地元産のクラゲの展示が出てきた。S課長が近くの海へ出かけ、採集してきたクラゲを展示しているのだった。それまで地元産の展示は、ミズクラゲだけだった。S課長がどのような気持ちで取り組み始めたのか。とにかく苦労しながらも、まちなか水族館が閉館するまで続けられた。必然的に、クラゲの繁殖にも取り組むことになり、二けたの種類は成功させている。平成28年4月に再オープンしたもぐらんぴあでは、このノウハウが生かされ、以前よりも充実した展示となった。

 もぐらんぴあとクラゲの縁は無くなったと思ったが、S課長の情熱が再びつないでくれた。もぐらんぴあ生まれのクラゲが1種、また1種と増えるたび、つながった縁が太くなっていく。そして久慈の海に棲んでいるたくさんのクラゲの仲間が、S課長を待ちわびているだろう。
 「私達にも注目して、多くのファンに紹介してほしい!私達を見て癒されてほしい!」…と。

 次回は、さかなクンともぐらんぴあの物語「ボク、もぐらんぴあ 応援団長はさかなクン!東日本大震災で全壊した水族館の物語」書籍発売について伝えていきたい。