岩手県三陸の南部潜りと海女潜りがある久慈地下水族科学館もぐらんぴあ さかなクンコーナーも大人気!

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館長日記

第8回 震災から9年目 復活して5年目 令和2年度を迎えて

次回のテーマは「深海生物コーナー」とご報告申し上げたが、間を空けてタイミングを逸してしまったように思うので、省略させていただきたい。

 今年度は震災復興から5周年目。応援団長のさかなクンもお忙しい中をぬって、ゴールデンウィークのイベントに参加していただける予定だった。
「ギョ(5)周年、おめでとうギョざいます!!」と、明るく元気な声を聞けるものと楽しみにしていたが、新型コロナウイルスの感染拡大防止策の一環で、残念ながら中止させていただいた。

 大震災を体験した時は、今後、人生でこれ以上の災害はもう無いだろうと思った。その後、平成28年8月30日に発生した台風10号による豪雨災害で、久慈市も大きな被害が発生し、私の実家も被害を受けた。さらに、令和元年10月12日には台風19号により、やはり久慈市も甚大な被害を受け、私の自宅周辺や道路も被害にあった。

 4月16日、政府が全国一斉の緊急事態宣言(~5月6日)を行った。現在、全国で唯一感染者が確認されていない岩手県でも、今後が見通せない状況となった。当館としても、今年のゴールデンウィーク期間(4月25日~5月6日)は、臨時休館させていただく事になった。新型コロナウイルス感染拡大防止のためである。平成6年4月にオープンしてから初めての事である。現在、国外・国内問わず猛威をふるっている現状は、これまで以上の災害体験となるかもしれない。

 つい最近、さかなクンからメールをいただいた。
「自宅で飼っていたお魚を母とスタッフの3人で連れて行き発送するように頼んできました。お楽しみに~♪」
大震災の年から毎年欠かさずに、お気に入りのお魚を送り続けてくれているさかなクンからのさり気ない連絡だった。送っていただいたお魚はどんどん増えて、紹介コーナーを拡充することになった。どんどん充実した展示になっていく。スタッフ一同感謝の気持ちでいっぱいである。

 ふと深海コーナーに目をやれば、ミドリフサアンコウやキホウボウ、ベニテグリなどがゆったりと佇んでいる。震災前にはこのような深海魚の常設展示は考えられなかった。今では立派な目玉展示になっている。さらに奥に進むとクラゲコーナーがあり、展示している20種類の半分はスタッフの手によって生まれたクラゲが泳いでいる。この取組みも震災後に始めたものだが、無くてはならない展示の一つになった。

 私達を取り囲む環境が時代により変化してゆくけれども、皆で積み重ねてきたものは決して無くなるわけではないという事を教えてくれているような気がする。

 そこに希望を見出してこれからも歩んでいけたらと思う。